1on1が雑談で終わってしまう最大の原因は、事前準備がないことです。「最近どう?」から始まる30分は、話しやすい相手とは盛り上がり、話しづらい相手とは沈黙します。

アジェンダがあれば、この差はかなり埋まります。とはいえ管理職が部下10名分のアジェンダを毎月作るのは負担です。AIは、この準備工程を肩代わりできます。

AIに渡す材料

渡すもの 例
今期の目標 新規受注6件(月1件)
直近の進捗 2か月で1件。商談化は8件
前回の1on1で決めたこと 訪問前に提案骨子を作る
本人の等級・経験 3等級/入社4年目
今回話したいこと 提案の質を上げる方法

前回決めたことを渡すと、1on1が単発の面談ではなく継続した対話になります。ここが抜けると毎回ゼロから始まります。

アジェンダの型

AIに指示するときは、次の型を指定してください。30分の1on1を想定した配分です。

時間 内容 目的
5分 前回決めたことの確認 やったか・やれなかったかを確認する
10分 目標の進捗と障害 数字ではなく「何が詰まっているか」を聞く
10分 本人が話したいこと 議題を本人に持たせる
5分 次回までに決めること 具体的な行動を1つ決める

「上司が聞きたいこと」だけで埋めないのがコツです。本人の議題枠を必ず残してください。

出力例

前回の確認(5分) ・訪問前に提案骨子を作る運用、実施できた商談はいくつありましたか ・作ってみて、やりづらかった点はありましたか

進捗と障害(10分) ・商談化8件に対して受注1件です。受注に至らなかった案件で、共通していた理由はありますか ・提案の場で、答えに詰まった質問はありましたか

本人の議題(10分) ・提案の質を上げたいとのことですが、具体的にどの場面で手応えが足りないと感じますか

次回までに決めること(5分) ・次回までに取り組むことを1つ決めましょう

質問が「はい/いいえ」で終わらない形になっているか確認してください。閉じた質問が並ぶと、面談が確認作業になります。質問の設計は評価面談の質問力でも扱っています。

話してはいけないことを決めておく

1on1は評価面談ではありません。次の3つは1on1では扱わないと決めておくと、本人が話しやすくなります。

  • 評価点の通知(フィードバック面談で行う)
  • 処遇の交渉(別の場を設ける)
  • 他の社員の評価に関する話

この線引きを最初に本人へ伝えておくと、1on1が「査定の場」と誤解されずに済みます。

記録の残し方

1on1の価値は、記録に残って初めて評価と接続します。最低限、次の3つを残してください。

  1. 話した事実(進捗・起きた出来事)
  2. 決めたこと(次回までの行動)
  3. 気づいたこと(評価に使える具体)

この記録が溜まると、期末の評価コメントを書くときの材料になります。期中に記録が無い状態で評価コメントを書くと、印象評価になってしまいます。記録から評価コメントを作る手順は人事評価コメントをAIで書く手順にまとめました。

よくある質問(FAQ)

Q. 1on1の頻度はどれくらいが適切ですか? A. 月1回30分が基本です。週1回15分にする会社もありますが、続かないと意味がないため、まず月1回を確実に回すことをおすすめします。

Q. アジェンダを事前に部下へ共有すべきですか? A. 共有してください。当日その場で考えさせると、話が表面的になります。前日までに渡し、本人の議題を追記してもらう運用が機能します。

Q. 話すことが無いと言われたらどうすればよいですか? A. 「困っていること」ではなく「最近時間を取られた作業」を聞いてください。抽象的な問いより、具体的な事実から入るほうが話が出ます。

Q. AIに1on1の記録を要約させてもよいですか? A. 要約は有効です。ただし個人の評価に関わる記録なので、社内で許可された環境で扱ってください。

AI人事評価システム「Scale人事評価」では、1on1の記録を評価データと同じ場所に残せます。1on1の基本的な考え方は1on1とは、AI活用の全体像はAI人事評価とは?をご覧ください。