「自社に合った人事評価制度を作りたいが、コンサルに頼むと高い。かといって、何から手をつければいいか分からない」——中小企業でよく聞く悩みです。この記事では、AIコーディングツール「Claude Code」を使って、評価項目・段階・配点・報酬連動までを自社で設計していく手順を解説します。専門用語は都度かみ砕くので、人事の専門家でなくても読み進められます。なお私たちカラフルボックスの評価SaaS「Scale人事評価」自体、Claude Codeで内製開発したものです。AIで評価制度づくりを進める勘所は、その実体験から整理しています。

なぜ「AIで評価制度を作る」が現実的になったのか

結論から言うと、評価制度づくりの大半は「文章を整理し、たたき台を作り、比較検討する」作業であり、これはAIが最も得意とする領域だからです。

これまで評価制度の設計は、専門コンサルに数十万〜数百万円で外注するか、担当者が書籍やテンプレートと格闘しながら自力で組み上げるかの二択でした。前者はコストが重く、後者は時間がかかり品質も安定しません。Claude Code は、この「たたき台づくり」と「壁打ち相手」の役割を担えます。自社の状況を伝えれば、評価項目の草案・段階設計・配点の考え方を対話しながら形にしていけます。

ただし注意点があります。AIはあくまで設計を「支援」する道具で、最終的に「自社にとって何が正しいか」を決めるのは人間です。この線引きは記事の最後にあらためて触れます。

Claude Codeとは何か、なぜ制度設計に向くのか

Claude Code は、日本語で指示するだけでファイルの作成・編集や情報整理をこなすAIツールです。プログラミング用途で生まれましたが、その本質は「手元のファイルを読み、指示に沿って文書を作り、対話で直していける」点にあります。

評価制度づくりと相性が良い理由は3つあります。第一に、自社資料を読み込ませられること。既存の職務分掌、経営理念、過去の評価シートを渡せば、それを踏まえた設計ができます。第二に、たたき台を何パターンも高速に出せること。「営業向け」「管理部門向け」と切り口を変えた案を並べて比較できます。第三に、成果物がそのままファイルで残ること。評価シートやマニュアルを、清書された状態で手元に蓄積していけます。

手順1:自社の「前提」をAIに渡す

最初にやるべきは、制度そのものの検討ではなく、自社の前提をAIに共有することです。AIは自社の事情を勝手には知りません。

具体的には、次のような情報を渡します。

  • 会社の基本情報:業種、従業員数、組織構成(部門・職種・階層)
  • 既存資料:経営理念、行動指針、職務分掌、いま使っている評価シート(あれば)
  • 評価の目的:処遇(昇給・賞与)に反映したいのか、育成が主目的なのか
  • 制約:運用にかけられる工数、評価者のスキル、導入時期

これらをファイルにまとめて渡すか、対話の冒頭で伝えます。前提が薄いと一般論しか返ってきません。逆にここが充実するほど、以降の草案が「自社仕様」に近づきます。

手順2:評価軸と評価項目の草案を作る

前提を共有したら、評価の骨格を作ります。人事評価は一般に「成果(何を達成したか)」と「プロセス・行動(どう取り組んだか)」の2軸で組むのが基本です。

たとえば、次のように依頼します。

渡した経営理念と職務分掌をもとに、営業職の評価項目案を作って。
「成果目標(KPI)」と「行動目標(コンピテンシー)」に分け、
それぞれ3〜5項目、各項目に評価の着眼点を添えて。

ここで出てくるコンピテンシーとは「成果を安定して出す人に共通する行動特性」のことです。AIは職種の一般的な行動特性をたたき台として出せますが、自社らしさを足すには、後述の「バリュー(行動指針)」との突き合わせが要ります。草案が出たら、そのまま採用せず「この項目はうちには合わない」「この観点を足したい」と対話で削り込んでいきます。

手順3:段階・配点・評価基準を決める

項目が固まったら、「何段階で評価するか」「各項目の重みをどうするか」「どの状態を何点とみなすか」を設計します。

  • 評価段階:真ん中に評価が集まる「中心化傾向」を避けたい項目では、偶数段階(例:4段階)が有効です。
  • 配点ウェイト:営業は成果の比率を高め、管理部門はプロセスの比率を高める、というように職種で変えるのが定石です。
  • 評価基準(ものさし):「達成率100%で標準、120%以上で最高評価」のように、点数の判断基準を言語化します。

AIには「なぜその設計が良いのか、根拠とセットで複数案を出して」と頼むのが有効です。判断そのものは委ねず、選択肢と理由を出させて、決めるのは自社が行います。

手順4:バリュー(行動指針)を言葉にする

自社らしい評価にするうえで効きやすいのが、**バリュー(大切にしたい価値観・行動指針)**の言語化です。ここはテンプレートのコピーでは作れない、その会社固有の部分です。

うまくいくやり方の一つが、経営者や現場の「愚痴」と「願望」をAIに渡すことです。「こういう動きをする人が増えてほしい」「これをやられると困る」といった生の言葉を素材にすると、AIがそれを前向きな行動指針の文言へ整えてくれます。出てきた候補から、腹落ちする言葉を選び、自社の言葉づかいに直します。

手順5:評価シートとマニュアルに落とす

設計が固まったら、実際に配れる形にします。Claude Code は成果物をファイルで出せるため、この工程が特に速く進みます。

これまで決めた評価項目・段階・配点をもとに、
営業職の評価シートをExcel形式で作って。
自己評価欄・一次評価欄・コメント欄を設けて。
あわせて、評価者向けの記入マニュアルも1枚にまとめて。

職種や階層ごとにシートを作り分ける場合も、1つ完成させれば「これを管理部門向けに直して」と展開できます。評価者間のばらつきを抑えるマニュアルまで同時に用意できるのが強みです。

AIに任せてよい範囲、人が決めるべき範囲

ここが最も重要です。AIに任せてよいのは「たたき台づくり」「文章整形」「案の比較」まで。「自社にとって何が正しいか」の意思決定は、必ず人が担ってください。

評価制度は、社員の処遇と納得感に直結します。AIが出した配点や基準をそのまま採用すると、現場の実態とずれた制度になりかねません。AIを「優秀だが自社を知らない助っ人」と捉え、草案を叩き台として使い、判断は経営と人事が握る——この役割分担が、AI活用で失敗しないための肝です。

また、評価データや人事情報を扱う際は、社内の情報セキュリティポリシーを確認し、必要に応じて氏名をIDに置き換えるなどの配慮をしてください。

まとめ:制度づくりの「重い部分」をAIで軽くする

要点を振り返ります。

  • 評価制度づくりの大半は「文章整理・たたき台・比較検討」であり、Claude Code で大幅に軽くできる。
  • まず自社の前提を渡し、評価軸→項目→段階・配点→バリュー→評価シートの順に、対話で作り込む。
  • AIに任せるのはたたき台まで。何が自社に正しいかの判断は人が握る。

私たちカラフルボックスの「Scale人事評価」は、この考え方をそのまま形にしたAI人事評価SaaSで、Claude Code を活用して内製開発しました。制度設計から評価シートの配布・集計・分析までを一つのクラウドで完結でき、AIが目標の添削やコメント生成を支援します。「自社に合った評価制度を、コストを抑えて作りたい」「作った制度をきちんと運用に乗せたい」という中小企業の方は、お気軽にご相談ください。