MCP(Model Context Protocol)とは、AIアシスタントと外部のサービスをつなぐための共通規格です。これに対応したサービスは、ClaudeなどのAIアシスタントから直接操作できるようになります。
人事評価の文脈でいえば、「評価システムの画面を開いて、メニューをたどって、条件を指定して出力する」という一連の操作を、AIへの一言で済ませられるようになる、ということです。
何が変わるのか
従来の操作と、MCP経由の操作を比べます。
| やりたいこと | 従来 | MCP連携 |
|---|---|---|
| 未提出者を確認する | 画面を開き、期間を指定し、一覧を絞り込む | 「今期の評価シート、まだ出していない人は?」 |
| 評価の分布を見る | 集計画面で部署と期間を選ぶ | 「営業部の今期の評価分布を出して」 |
| 評価コメントの下書き | 評価画面で対象者を開いて入力 | 「この人の評価コメントの下書きを作って」 |
| 前期との比較 | 2つの期間を別々に出して見比べる | 「この人の前期と今期の評価を比べて」 |
操作そのものが速くなるというより、**「どのメニューにあるか覚えていなくても使える」**点が効きます。評価システムは年に2回しか触らない管理職が多く、毎回操作を思い出すところから始まるのが実情です。
向いている作業・向いていない作業
向いている
- 状況の確認(未提出者、進捗、分布)
- 条件を変えながら何度も出す集計
- 文章の下書き(評価コメント、面談のアジェンダ)
- 過去データとの比較
向いていない
- 評価点の確定(人が画面で確認して確定すべき)
- 個人情報を多く含む一括出力
- 監査対象になる操作(誰が何をしたかを明示的に記録したい操作)
判断を伴う操作は画面で行い、調べものと下書きをAI経由にする。この分担が現実的です。
導入前に確認すること
MCP連携は便利な一方、人事評価データという機微な情報を扱うため、次の点を必ず確認してください。
- 権限がどう引き継がれるか:AI経由でも、その人が本来見られる範囲だけに限定されるか
- 操作ログが残るか:誰がAI経由で何を参照したかが記録されるか
- データが学習に使われないか:やり取りした内容の扱いが明記されているか
- 利用できる環境の制限:会社が許可したAIアシスタントに限定できるか
このうち1と2は、情報システム担当が必ず確認する項目です。社内稟議の際は書面で回答をもらってください。
「AIが評価を決める」わけではない
MCP連携でできるのは、あくまで操作と下書きです。評価点を決めるのも、フィードバックの内容を確定するのも人です。
この線引きを社内で明文化しておくと、「AIに評価されている」という誤解を避けられます。評価制度の説明会では、AIがどこまで関与するかを明示することをおすすめします。AIと人の役割分担の考え方はAI人事評価とは?にまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q. MCPに対応していると何が必要になりますか? A. 対応したAIアシスタント(Claudeなど)と、サービス側の接続設定が必要です。個々の社員が設定するものではなく、管理者が会社として接続を許可する形になります。
Q. 全社員がAI経由で評価データを見られるようになるのですか? A. いいえ。権限は画面操作と同じです。評価者は自分の部下の情報だけ、社員は自分の情報だけ、という制御が引き継がれる設計かを確認してください。
Q. AIが間違った操作をする可能性はありませんか? A. 参照は問題になりにくい一方、更新や削除を伴う操作はリスクがあります。更新系の操作を許可するかは、運用ルールとして決めておくべきです。
Q. 小規模な会社でも意味がありますか? A. 評価システムを年2回しか触らない会社ほど効果があります。操作を覚え直す負担が無くなるためです。
Q. まだベータ段階の機能を業務で使って大丈夫ですか? A. 参照用途から始め、更新系の操作は画面で行う運用にすれば、リスクを抑えて試せます。
AI人事評価システム「Scale人事評価」はMCPに対応しており、AIアシスタントから評価業務を進められます(ベータ)。制度づくりから見直したい場合は人事評価制度とは?もあわせてご覧ください。
